営業マンの放浪日記

令和8年6月・矢板家畜市場レポートNew

礒匠の日記2026/06/07

みなさん、こんにちは!関東担当の礒です。

今回は、久々に先日開催された令和8年6月の矢板家畜市場を見学してきましたので、
その市場動向を振り返ってみたいと思います!

今回の矢板市場は全体的に価格を下げての取引となりました。
この相場下落の背景には、「上場頭数の動向」も大きく関係していそうです。

直近の動きを振り返ると、先々月(4月)が718頭、先月(5月)が689頭と、
ここ最近は上場頭数が少なめで推移していました。
それが今月は783頭上場・780頭成立と、一気に頭数が戻ってきた形です
(前年同月比で見ればまだ50頭減ですが……)。

先月、先々月と少なかった反動で今月は少し頭数にボリュームが出たため、
若干相場が安くおさまったという側面もありそうですね。

まずは、市場全体の結果です。(税込)

全体の取引成績(6月期実績)

  • :347頭 / 平均 764,214円 (前回比:29,855円安) / 平均305kg(290日令)

  • 去勢:433頭 / 平均 896,218円 (前回比:49,367円安) / 平均343kg(287日令)

  • 総計:780頭 / 平均 837,493円 (前回比:41,240円安) / 平均326kg(288日令)

ご覧の通り、雌で約3万円安、去勢にいたっては約5万円安となりました。

繁殖農家さんにとっては非常に痛い下落ですが、
買い手である肥育農家さんにとって楽な市場だったかというと、決してそんなことはありません。
依然として高騰を続ける配合飼料コストや現在の枝肉相場を考えれば、
下がったとはいえ、肥育農家さんからすれば依然として限界ギリギリの高い買い物だと思います。

【速報データから分析】日別の動き

  • 6月1日(1日目):上場 410頭(去勢 227頭 / 雌 183頭)

    • 去勢平均:343kg / 81.7万円(税別)

    • 雌平均:303kg / 70.3万円(税別)

  • 6月2日(2日目):上場 391頭(去勢 219頭 / 雌 172頭)

    • 去勢平均:346kg / 80.0万円(税別)

    • 雌平均:305kg / 69.2万円(税別)

「裾物が高く見える」現場の空気感と、買い手の苦悩

今回私が現場で強く感じたのは、「裾物(下位層)の価格が高いな」という印象でした。

もちろん、「福勝鶴」や「北美津久」などの主力勢は、
税別で90万円台後半や80万円台(税込で100万円前後)と高値でしっかり推移しています。
その一方で、下位の牛たちも極端に暴落することなく、税込70万円前後で粘り強く踏ん張っていました。

結果として上下の価格差がギュッと縮まり、
相対的に「下(裾物)が底堅く、高く感じる」といった相場感でした。

肥育農家さんたちの「少しでもリスクを抑えつつ、頭数は確保しなければならない」
ことでこの裾物の底堅さに表れているのではないでしょうか。

そのなかでも「抜けた」牛たち!2日間総合トップ10

そんな厳しい予算上限のなかでも、大台(税別表記でも100万超え)を突破した牛たちもいました。
2日間のセリ場で特に高値で取引されたトップ10の顔ぶれです。(価格は税別)

【去勢・雌  総合トップ10】

  1. 105.0万円 (去勢): 暁之藤 - 百合茂 - 安福久 (387kg)

  2. 101.9万円 (雌) : 暁之藤 - 美国桜 - 華春福 (323kg)

  3. 99.9万円 (去勢): 福勝鶴 - 耕富士 - 安福久 (393kg)

  4. 99.8万円 (去勢): 暁之藤 - 美国桜 - 幸紀雄 (419kg)

  5. 99.7万円 (雌) : 美国桜 - 諒太郎 - 安福久 (311kg)

  6. 98.1万円 (去勢): 暁之藤 - 美国桜 - 華春福 (362kg)

  7. 98.1万円 (去勢): 福勝鶴 - 安福久 - 勝忠平 (429kg)

  8. 97.7万円 (去勢): 福勝鶴 - 安福久 - 耕富士 (395kg)

  9. 97.6万円 (雌) : 暁之藤 - 福勝鶴 - 安福久 (348kg)

  10. 97.5万円 (去勢): 福勝鶴 - 諒太郎 - 美津照重 (408kg)

去勢で105.0万円、雌で101.9万円と、ともに最高価格を叩き出したのは「暁之藤」でした!
去勢の暁之藤(13頭)は平均価格で
1,005,738円(税込)を記録しており期待感の現れではないでしょうか。

また、高値が付く牛の母方(2代祖・3代祖)には「安福久」がこれでもかと絡んでいます。
素牛が高いからこそ、A5で枝重も十分に取れる確率の高い血統が選ばれる傾向にあるのだと感じました。

種雄牛別 成立頭数

最後に、今回の市場の合計10頭以上の主力種雄牛たちの勢力図をまとめておきます。

順位 種雄牛名 雌(頭) 去勢(頭) 合計(頭) 市場シェア
1 福勝鶴 48 76 124頭 15.9%
2 北美津久 56 63 119頭 15.3%
3 福之鶴 50 68 118頭 15.1%
4 福之姫 40 52 92頭 11.8%
5 千寿剣 25 23 48頭 6.2%
6 若百合 14 15 29頭 3.7%
7 百合白清2 11 16 27頭 3.5%
8 暁之藤 9 13 22頭 2.8%
9 那奈雄 11 11 22頭 2.8%
10 貴隼桜 0 17 17頭 2.2%
11 知恵久 10 4 14頭 1.8%

相変わらず「福勝鶴」「北美津久」「福之鶴」「福之姫」の上位4頭が圧倒的で、
この4トップだけで全体の約6割(453頭)を占めています。

おわりに

前回比で「下がった」とはいえ、生産コストとの闘いのなかで、
買う側にとっても売る側にとっても非常に重くシビアな価格帯が維持された6月期市場でした。

こうした厳しい時代だからこそ、繁殖農家さんが丹精込めて育てた子牛たちが、
肥育農家さんのもとで一頭残らず素晴らしいお肉になり、しっかりと利益を運んでくれることを切に願っております。