営業マンの放浪日記

和牛の短期肥育について   その2

中紙育朗の日記2021/04/30

 

 

 

前回からの続きを書きたいと思います。

 

枝肉格付け以下にも、分析型官能評価(食味試験)をされました。

 

評価項目は、やわらかさ、多汁性、うま味、脂っぽい香り、甘い香り、肉様の香り、

 

和牛らしい風味の7項目。

 

どの項目も有意な差はみられなかったという判断でしたが、数値で見ると

 

甘い香り      26カ月肥育 6.3     29カ月肥育  6.9

 

和牛らしい風味          6.3               6.8

 

と差がみられました。

(数値が大きいほど良い)

 

 

ちなみに、今回は発表されていませんが、オレイン酸、一価不飽和脂肪酸(MUFA)

 

飽和脂肪酸の数値も測定されており、論文になった場合発表するかもしれない

 

との事でした。

 

話が少し逸れてしまいますが、お肉の味についての評価は皆様意見

 

が分かれるところでもありますよね。

 

今のところ僕自身は、個人の好みによる部分が大きいのでは?と思っていますが、

 

今後、食べ比べる事がたくさんできたのなら変わるのかな?とも思っています。

 

 

 

最後に、温室効果ガスの原因といわれるメタン(消化管内と堆肥処理由来の2項目)

 

と一酸化二窒素の発生量を推計し削減率を計算されています。

 

メタンガスが消化管内と堆肥由来を合わせておおよそ14%

 

堆肥由来の一酸化二窒素が11%削減が期待されるとの事でした。

 

本文にも書いておりますが、短期肥育は2015年国連サミットで採択された

 

持続可能な開発目標(SDGs)への取り組みの一環にもなります。

 

 

短期肥育は今までもされている農場もあり、今回の試験結果だけでは

 

まだ頭数も少ないので判断しにくい部分もあるかと思いますが、

 

共励会や長期肥育を実施する銘柄牛などを除く、一般出荷の場合の

 

選択肢として僕個人的にはアリなのではと思っております。

 

その場合、出荷されるお肉屋さんの方の意見もあるかと思いますし、

 

素牛の選定(血統も含む)、エサの打ち込み(エサの濃さ)を変えていく必要

 

があるかもしれませんので簡単ではないかもしれませんが、

 

エサ代やその他経費を減らす事が可能になると経営面において

 

メリットがあると思います。

 

もちろん短期肥育により肥育成績や肉質が大きく落ちてしまうと、良くありませんので

 

もし実施される場合は小頭数(1スパン)などから試験的に行ってみると

 

良いかと思います。

 

 

 

少しでも何かの参考になりましたら幸いです。